次期学習指導要領 / 中学校技術・家庭科 技術分野

情報・技術科(仮称)今と何が変わるのか。そして、これからどうするのか。

技術・家庭科は「情報・技術科」と「家庭科」に分かれます。技術分野は情報教育の中核を担う教科として作りかえられ、 現行の4領域は2領域7内容項目に再編。木工も栽培も回路もなくなりませんが、すべてが情報技術を基盤にした形に変わり、 さらに領域をまたぐ「技術の統合」が新設されます。このページは、令和8年8月の情報・技術WG取りまとめ(案)に基づく整理です。

全面実施
2030年度 / 答申は令和8年度中
領域構成
4領域 → 2領域7項目
新設される内容
技術の統合
時数(検討中)
1・2年 週2/3年 週1

領域はこう組みかわる

現行のA〜Dがどこへ行くか。消える領域はありません。
現行:技術・家庭科(技術分野)
A 材料と加工の技術木材での作品製作 など
B 生物育成の技術作物の栽培 など
C エネルギー変換の技術電気回路 など
D 情報の技術プログラミングによる問題解決 など
→
新設:情報・技術科(仮称)
1. 情報技術 ── 旧Dを抜本強化し、全体の基盤に
  1. (1)情報の表現とデジタル化
  2. (2)プログラミングと自動化
  3. (3)情報基盤とシステム化
2. 情報を基盤とした生産技術 ── 旧A・B・Cを情報技術の上に載せ直す
  1. (1)材料加工とデジタル製作
  2. (2)生物育成とデータ活用
  3. (3)エネルギー変換とスマート化
  4. (4)技術の統合新設
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現行と新しい姿を、項目ごとに並べる

左が今の技術分野、右が情報・技術科(仮称)。改訂案の文言そのものを軸に整理しています。

教科の枠組み
現行

技術・家庭科という一つの教科の中に、技術分野と家庭分野が同居している。

改訂案

技術・家庭科を分離。技術分野は「情報・技術科(仮称)」、家庭分野は「家庭科(仮称)」として、それぞれ独立した教科になる。

内容の構成
現行

A材料と加工/B生物育成/Cエネルギー変換/D情報の技術 の4領域。デジタルの学習はDにほぼ閉じている。

改訂案

2領域7内容項目。「情報技術」が全体の基盤となり、A・B・Cは情報技術を前提とした生産技術として組み直される。領域をまたぐ「技術の統合」を新設。

目標(思考力・判断力・表現力等)
現行

生活や社会の中から技術に関わる問題を見いだして課題を設定し、解決策を構想し、製作図等に表現し、試作等を通じて具体化し、実践を評価・改善する力を養う。

改訂案

生活や社会の問題を技術の観点から正負の両面を含め多角的に捉え、課題を設定する力。検証等を通じて探究的に解決策を構想・具体化する力。仕組みや価値を創造して課題を解決し、実践を評価・改善する力。

見方・考え方
現行

生活や社会における事象を、技術との関わりの視点で捉え、社会からの要求、安全性、環境負荷や経済性などに着目して技術を最適化すること。

改訂案

生活や社会の問題を、技術的視点で正負の両面を含め多角的に捉え、包摂的で豊かな生活や社会の実現に向けて、情報や技術を適切に活用したり、新たな価値を創造したりすること。

学習過程の示し方
現行

各領域が(1)(2)(3)で構成されるが、見出しからは学習過程が読み取りにくく、A〜Dに共通する考え方が十分に表現されていない、と指摘されている。

改訂案

すべての内容項目で(ア)技術の原理と仕組み →(イ)技術による問題解決 →(ウ)社会における技術の吟味と活用と見出し化。共通の学習過程が一目で分かる構造になる。

AIの扱い
現行

生成AI等の先端技術に関わる内容が明確に位置付けられていない。情報モラルやメディアリテラシーの育成は学校による取組の差が大きい。

改訂案

AIを内容項目横断的に扱う。情報技術領域ではAIを設計・判断・評価する対象として、生産技術領域ではAIを補助的な役割として課題設定や評価・改善に使う、と役割が分けられている。

プログラミング的思考
現行

「意図した動きを実現するために、記号の組合せをどう改善するか論理的に考える力」。主に小学校段階の考え方として整理されている。

改訂案

前後に広げて捉え直す。①実現したいことの構想 →②課題と条件の整理 →③AIへの指示 →④妥当性の検討 →⑤検証・改善 →⑥責任をもって判断し問題を解決まで。中学校・高校でも育成すべきものと明記。

メディアリテラシー
現行

情報モラルの中に一部重なるが、情報の吟味や批判的な評価という要素が内容として不明確。国語科・社会科でも扱われてきたが十分な指導ができていない。

改訂案

情報活用能力の構成要素として明確に位置付け。フィルターバブル、エコーチェンバー、偽・誤情報を扱い、情報の信頼性を吟味したり判断を留保したりする力を体系的に育てる。

7つの内容項目と、授業のかたち

見出しをタップすると、扱う内容・現行のどこから来たか・WG資料に示された授業イメージが開きます。

1-(1)
情報の表現とデジタル化
情報やデータを正しく読み取り、妥当性を批判的に確かめ、分かりやすく伝えられる
▼
扱う内容
  • 情報のやり取りに関する特性を知る — データの構造・管理・分析、ネットワーク、AI、メディアの特性
  • 安全に情報を扱う — 個人情報、セキュリティ、偽・誤情報の判別、著作権・肖像権
  • 情報を批判的に吟味する — フィルターバブル、エコーチェンバーなど情報の偏りを踏まえた信頼性の吟味 新規性が高い
  • 情報を分かりやすく表す・伝える — ユーザ視点の情報デザイン、統計的な分析
授業イメージ(WG資料より)
仕組みを知る段階

レコメンドでフィルターバブルを体験しワークシートに整理。SNSと報道メディアを比較。生成AIのフェイク画像と本物を見比べて問題点を共有。Webページ制作を通じてデジタル化と情報共有の仕組みを理解。

問題解決の単元例

「情報を伝えるアプリを作る」/「分析したデータを利用するアプリを作る」。見づらい案内表示をユーザー調査から見つけ、情報デザインの考え方で校内表示板やアプリを設計・制作し、来校者の評価をもとに改善する。

1-(2)
プログラミングと自動化
意図に応じた命令をプログラムし、作業や判断の一部を任せ、精度と効率を高められる
▼
扱う内容
  • コンピュータと自動化の仕組みを知る — 構成、計測・制御、ネットワーク、情報セキュリティ 旧D(3)を継承
  • 自動化を批判的に考える — アルゴリズムが人の認知に与える影響、AIが自動化に果たす役割
  • 情報処理の手順を設計する — アルゴリズム、アクティビティ図
  • 自動化の仕組みをつくる — アジャイルに試しながら改善、AIを補助的に用いたプログラミング
  • ロボティクス・フィジカルAIなどの先端技術 新規
授業イメージ(WG資料より)
仕組みを知る段階

栽培の課題からかん水システムを設計・製作して動作を分析。その計測部分をAIの画像認識に置き換えて、従来のセンサとの違いを比較する。簡単な個人認証プログラムを作って情報を守る仕組みを理解。

問題解決の単元例

「画面で動作するプログラムを作る」(席替えルーレットなど、ユーザーのニーズ調査から)/「ロボットを動かすプログラムを作る」。閾値の分析、デバッグ、相互評価による改善まで。

1-(3)
情報基盤とシステム化
多様な技術を組み合わせたシステムを、社会への影響に配慮しながら評価・改善できる
▼
扱う内容
  • 情報システムの仕組みを知る — 情報システムの構造、AIがシステムに果たす役割
  • 情報技術のリスクに対処する — 法・制度、マナー、健康への影響
  • 情報技術を組み合わせ価値を生む — 複数技術を組み合わせたシステムづくり
  • 情報システムを見直し、より良く使う — 倫理・法・社会の観点からの評価・改善
位置づけ
  • 「複数の技術が統合されたシステムを、仕組みを理解しないまま使うと事故や誤操作のリスクが生じる」という問題意識が背景にあります。自動運転や介護ロボット、スマートフォンが例に挙げられています。
2-(1)
材料加工とデジタル製作
デジタルも活用して材料の加工や構造を工夫し、生活や社会を便利にする
▼
現行Aから何が変わるか
  • 木工はなくなりません。材料の特性、構造、加工、製作の技能は引き続き扱われます 旧A
  • 3DCAD・3Dプリンタ等のデジタル加工機を使った設計・製作が入る 追加
  • 人間工学に基づいた機能・構造・形状の設計 追加
  • 木質材料の多様化、新素材まで視野を広げた材料の理解
授業イメージ(WG資料より)
中1の流れ

学校の机の材料と加工法を調査 → 材料(木質・金属・プラスチック・新素材)を分担調査して発表 → 簡易ブリッジコンテストで構造の工夫を体感 → 3DCADで簡単な形を練習 → 困りごとから課題設定 → 3DCADで設計図・部品図 → けがき・加工・組立・仕上げ → 端末で記録した過程の写真も使って評価し、改善案を3DCADの設計データに反映。

技術の俯瞰

3Dプリンタによる建築やAIによる生産工程の自動化の映像を視聴し、こうした技術を発展させる上で気を付けるべきことをレポートにまとめる。

2-(2)
生物育成とデータ活用
デジタルも活用して育成環境を調整し、食料供給や環境保全につなげる
▼
現行Bから何が変わるか
  • 生物の育成環境の調整という核は同じ 旧B
  • 気温・土壌水分量などの環境データを計測・分析して育成計画を立てる 追加
  • AIを利用したスマート農林水産を扱う 追加
授業イメージ(WG資料より)
中2の入り口

圃場がない学校でも育てられるよう、学校の気温などの環境に合った野菜をAIを補助的に使って調べ、プランタでの栽培計画を立てる。データを記録しながら環境を調整し、収量と品質を高める方策を判断する。スマート農業の工夫を調べてスライドにまとめ発表。

2-(3)
エネルギー変換とスマート化
デジタルも活用してエネルギーの利用を効率化し、生活や社会を便利にする
▼
現行Cから何が変わるか
  • 電気回路・機構、組み立て、保守・点検の技能は継続 旧C
  • シミュレータを用いた回路や機構の設計とCADの操作 追加
  • AIやセンサを利用したロボティクス、電子機械・ロボットの製作 追加
  • 蓄電技術の進展を踏まえたエネルギー活用
ポイント
  • 「経済性等に配慮しつつ、情報技術を活用してエネルギーを変換する仕組みを設計し、安全で安定した動作を製作し表現できる」ことが、この項目で目指す姿として示されています。
2-(4)
技術の統合 ── 新設
多様な技術を統合して問題を解決し、生活や社会をよりよくする
▼
なぜ新設されたか
  • AI・センシング・データ基盤の発展で、情報技術と生産技術を組み合わせた「統合的な技術」が交通・医療・福祉・防災・環境で急速に社会実装されているため
  • 個別の技術の理解にとどまらず、それらがどう組み合わさって機能するかを義務教育段階から扱う
  • 技術分野の学習が「木材加工や栽培、電子工作といった体験にとどまり、課題解決に結び付いていない」という長年の指摘への回答でもある
授業イメージ(WG資料より)
題材例:地域の防災

統合された技術が防災に応用されていることを知る → 防災上の問題を見いだし、被害軽減の観点から課題を設定 → 既習の技術を統合したシステムを構想し設計図に表す → プロトタイプを製作 → 評価し改善・修正 → 将来の災害に備えて学んだ技術をどう活用するか考える。

指導計画の工夫

各内容項目の問題解決の時間の一部を「技術の統合」に位置付けるなど、弾力的な編成が可能とされています。既に製作した作品に情報技術を付加して高度化する形も例示されています。

なぜ、いま作りかえるのか

WG取りまとめ案は、2040年代の社会像からバックキャストして設計されています。技術科に向けられた指摘は、次の3点に集約されます。

① デジタルがDに閉じていた

デジタル技術の学習が「D情報の技術」に閉じており、内容も諸外国と比べて見劣りする。A・B・Cの3領域では、3Dプリンタ・センシングデータ・シミュレータなど情報技術との関連が図られていなかった。

② 実社会の課題解決が不十分

技術を活かして一人ひとりが実生活・実社会の課題解決を行う取組が不十分。問題を見いだして課題を設定し、解決策を設計・計画する過程の指導が足りていない、と指摘されている。

③ 原体験で止まっている

技術分野の学習は木材加工・栽培・電子工作といった体験にとどまり、生活の中での活用や課題解決に結び付けて考える学習が十分でない。多くの生徒が技術の原体験にとどまり深い理解に至っていない。

④ 民主主義社会を支える力として

偽・誤情報の拡散、フィルターバブル、エコーチェンバーが社会の分断を招きかねないという危機感が、改訂全体の出発点に置かれている。日本は偽・誤情報の認識率が他国より低いと指摘されている。

1,863人

令和7年度時点で、中学校技術・家庭科(技術分野)を免許外教科担任が担当している人数。臨時免許状所有者は543人。取りまとめ案はこれを「十分に指導体制が整備されていない危機的な課題」と明記しています。

約339万人

2040年に不足すると予測される、AI・ロボット等の活用を担う専門的・技術的人材。一方で事務職などには約437万人の余剰が生じるというミスマッチが指摘されています。

ただし「増やすだけ」ではありません

カリキュラム・オーバーロードへの対応として、個別の機器・ソフトウェア・材料・工具の知識を網羅的に扱うのではなく、問題解決や価値創造に必要な考え方や方法を重視して内容を構成する、と明記されています。教科書も「個別の知識や操作方法を網羅的に示す構成ではなく、課題解決の文脈の中で必要な知識・技能を扱う構成」へ。年間の標準総授業時数を増加させない方針も前提とされています。

これからどうすればよいか

2031年度(先行実施は2029年度)を待つ必要はありません。現行の学習指導要領の枠の中でも、方向をそろえた実践は今日から始められます。下は改訂の方向性から素直に導かれる打ち手です。

1

Dの授業に「情報を批判的に吟味する」時間を足す

今回いちばん新規性が高いのがここです。現行のD(1)「生活や社会を支える情報の技術」の中で、無理なく扱えます。

やり方:動画サイトやSNSのレコメンドで実際にフィルターバブルを体験させる/生成AIのフェイク画像と本物を見比べる/同じ出来事についてSNSと報道メディアの伝え方を比較する。「あいまいな情報は判断を留保する・拡散しない」まで着地させるのが改訂の趣旨です。
2

A材料と加工に、設計のデジタル化を1〜2コマ挟む

製作そのものを変える必要はありません。設計と評価・改善のところにデジタルを入れるのが、新しい「材料加工とデジタル製作」の形です。

やり方:3DCADで簡単な形を練習してから構想を設計図に起こす/製作過程を端末で写真記録し、評価のときにその記録をもとに改善案をCADデータへ反映する。3Dプリンタがなくても、設計と評価のデジタル化だけで趣旨の大半は満たせます。
3

計測・制御に「AIと比べる」視点を持ち込む

WG資料が具体的に示している方法です。既存の実践を捨てずに、新しい観点を一枚重ねられます。

やり方:センサを使ったかん水システムなどを作った後、計測部分をAIの画像認識に置き換えて、従来のセンサとの違いや特徴を比較する。「AIは何が得意で何を間違えるか」が体験として残ります。
4

3年の統合的な問題を、地域課題に寄せる

現行でも第3学年の「技術による問題の解決」では他の内容も含めた統合的な問題を扱うことになっています。ここが「技術の統合」の予行演習になります。

やり方:題材を地域の防災など複雑で多様な社会課題に寄せ、A〜Dを組み合わせたプロトタイプまで作らせる。課題設定→構想→制作→評価・改善→俯瞰、の流れをそのまま踏む。
5

単元計画の見出しを、新しい学習過程に合わせる

内容を変えなくても、示し方を変えるだけで改訂に接続できます。

やり方:単元計画や板書の柱を (ア)技術の原理と仕組み → (イ)技術による問題解決 → (ウ)社会における技術の吟味と活用 に統一する。生徒にも「今どこを学んでいるか」が見えるようになり、(ウ)が薄いという現行の課題も自覚しやすくなります。
6

AIの使い分けを、授業設計のルールとして決めておく

取りまとめ案はAIの役割を領域ごとに書き分けています。ここを最初に決めておくと、あとの単元設計が速くなります。

情報技術の領域では:AIは学ぶ対象。仕組み・限界・偏りを設計し判断し評価する。
生産技術の領域では:AIは補助的な道具。課題設定、設計、評価・改善の過程で使う。

国が用意するもの(待っていてよい部分)

取りまとめ案では、条件整備として次が挙げられています。そのまま授業で使える授業動画を含む学習者用教材の開発(技術の陳腐化を防ぐため少なくとも年1回のアップデートが前提)/「技術の統合」については指導計画・授業イメージの参考資料と研修を組み合わせたパッケージの提供/3Dプリンター等の教材の自治体別の整備状況を把握・可視化した上での整備促進/全ての担当教員の指導力向上に資する研修の支援。設備をいま慌てて自費で揃える話ではありません。

現場のQ&A

職員室で実際に出る質問に、取りまとめ案に書かれていることだけで答えます。書かれていないことは「書かれていない」と記します。

Q木工はなくなるのですか。▼
なくなりません。「材料加工とデジタル製作」として残ります。材料の特性、構造の工夫、けがき・加工・組立・仕上げの技能も明示されています。変わるのは、設計に3DCADが入り、評価・改善で記録データを使い、人間工学の視点が加わる点です。取りまとめ案は、生産技術を「情報技術が生み出す価値を現実の生活や社会で具体化する、引き続き不可欠な技術」と位置付けています。
Qなぜ「情報技術科」ではなく「情報・技術科」なのですか。▼
WGが理由を明記しています。情報技術のみを扱う教科ではなく、生産技術を含む多様な技術を一体的に学び、「技術の統合」を通して領域横断的に技術による課題解決を実践する教科だからです。そのうえで「その趣旨が正しく理解されるよう丁寧な周知・啓発に努める必要がある」とも書かれています。誤解されやすいことを、国も認識しています。
Q教員免許はどうなりますか。▼
情報・技術WGの取りまとめ案には、免許制度をどう変えるかの記述はありません。書かれているのは指導体制の現状認識です。令和7年度時点で技術分野の担当教員のうち臨時免許状所有者543人、免許外教科担任1,863人(高校情報科は臨免47人、免許外97人)で、これを「危機的な課題」とし、「指導体制の改善を一層加速させる必要がある」としています。条件整備としては、全ての中学校担当教員の指導力向上に資する研修の国による支援が挙げられています。免許の具体的な扱いは、教員養成部会など別の場での検討事項です。※ 今後の答申・関連審議で示される可能性があります。最新情報は文科省の公表資料をご確認ください。
Q授業時数は本当に増えるのですか。▼
確定ではありません。WGは各学年の学習活動を1コマ単位に近い粒度まで分解し、必要な項目数を中1で65項目程度、中2で66項目程度、中3で32項目程度と積み上げました。総則・評価特別部会ではこれを踏まえ、1・2年で年70コマ、3年で35コマ程度という案が示されています。ただしWG自身が「1コマ未満で扱えるものも複数コマ要するものもある」として、この数字をあくまで参考資料と位置付け、「年間の標準総授業時数を増加させないとの方針を前提に教育課程全体の観点から総合的に検討することが適当」としています。
Q家庭分野はどうなりますか。▼
技術・家庭科から分離し、「家庭科(仮称)」として独立する方向です。詳細は家庭科を所管する別のワーキンググループでの検討になります。なお、特別支援学校中学部の職業・家庭科の扱いについては、特別支援教育ワーキンググループでの検討が必要になるとの指摘が外部からも出ています。
Q3Dプリンタがない学校はどうすればよいですか。▼
国は「3Dプリンター等の教材の各自治体における整備状況の把握・可視化を踏まえ、その整備促進を図る必要がある」としています。整備は国と自治体の課題として位置付けられています。授業設計としては、設計(3DCAD)と評価・改善のデジタル化から始めるのが現実的です。出力機がなくても、設計データで試行錯誤し改善案をデータに反映する学習過程は成立します。
Q「技術の統合」に時間が取れるのでしょうか。▼
取りまとめ案は弾力的な指導計画の編成を認めています。各内容項目の問題解決の学習との系統性を損なわない範囲で、その時間の一部を「技術の統合」の問題解決の時間に位置付けてよい、とされています。既に製作した作品に情報技術を付加して機能を高度化する形も例示されており、ゼロから別単元を立てる想定ではありません。また「情報・技術科」における調整授業時数制度の活用も、柔軟な教育課程の工夫として挙げられています。
Q教科書はどう変わりますか。▼
個別の知識や操作方法を網羅的に示す構成ではなく、課題解決や価値創造の文脈の中で必要な知識・技能を扱う構成へ、と示されています。加えて、情報技術の変動性を踏まえ「教科書のみで内容を完結させるのではなく、国や民間が作成する教材等と連携しながら、技術の進展に応じて学習内容を柔軟に更新できる構造」を目指すとされています。教科書+随時更新される国の教材、という二段構えが前提です。
Q結局いちばん大きな変化は何ですか。▼
技術科教員の立場から見ると、情報技術が「4分の1の領域」から「教科全体の基盤」になったことです。A・B・Cはそれぞれ独立した領域ではなく、情報技術の上に載る生産技術として組み直されます。加えて、これまで実質的に3年生の統合的な題材として各校の裁量に委ねられていたものが、「技術の統合」という内容項目として制度に埋め込まれたこと。この2つが構造上の中核です。

これまでとこれから

いまは、教科の姿がほぼ見えた段階です。制度としての確定はこれからになります。

2024年12月
文部科学大臣が諮問
次期学習指導要領に向けた検討が始まる。
2025年9月
教育課程企画特別部会「論点整理」
情報活用能力の抜本的向上を改訂の柱に位置付け。中学校での「情報・技術科」創設の方向が示され、大きく報道された。
2025年9月〜2026年7月
情報・技術ワーキンググループ(全12回程度)
目標と見方・考え方(令和7年12月)→ 内容と高次の資質・能力(令和8年4月)→ 体系整理と学習内容の具体化(同5〜6月)→ 各コマ単位まで具体化し必要時数を判断できる水準へ。
2026年7〜8月
情報・技術WG 取りまとめ(案)
2領域7内容項目、目標、見方・考え方、学習活動イメージ、条件整備までが一つの文書に。このページの内容はここに基づいています。
2026年度中
中央教育審議会 答申
これを受けて学習指導要領の改訂告示へ。名称や内容項目が最終的に確定していく段階。
告示後〜
教科書の編集・検定、教材と研修の整備、先行実施
取りまとめ案には「新教科・領域の先行実施の考え方」の項目も置かれています。
2029年度〜
中学校で先行実施(経過措置)
2028年度に小学校「情報の領域」を先行実施で受けた児童が、2029年度に中1へ上がるのに合わせて開始。全面実施を待たず部分的な指導が可能に。
2031年度
中学校で全面実施
本格スタート。小学校は2030年度、高校は2032年度入学生から順次実施。

クイズで定着させる

読んだだけだと、職員会議で説明するときに出てきません。3種類の問題バンクを用意しました。5問・10問・20問・全問から選べます。連続正解でコンボが出ます。間違えた問題だけをもう一周できます。

① よくある誤解チェック(全12問)

職員室でよく出る「木工はなくなる?」「AIの学習は不要になる?」などの誤解を確認します。

誤解チェック

② 現行 vs 改訂案(全15問)

今の要領と改訂案で「何がどう変わるか」を正確に押さえます。

新旧比較

③ 総まとめテスト(全30問)

全問正解できれば、校内研修で説明できる水準です。

情報・技術科(仮称)問題バンク