7つの内容項目と、授業のかたち
見出しをタップすると、扱う内容・現行のどこから来たか・WG資料に示された授業イメージが開きます。
1-(1)情報の表現とデジタル化
情報やデータを正しく読み取り、妥当性を批判的に確かめ、分かりやすく伝えられる
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扱う内容
- 情報のやり取りに関する特性を知る — データの構造・管理・分析、ネットワーク、AI、メディアの特性
- 安全に情報を扱う — 個人情報、セキュリティ、偽・誤情報の判別、著作権・肖像権
- 情報を批判的に吟味する — フィルターバブル、エコーチェンバーなど情報の偏りを踏まえた信頼性の吟味 新規性が高い
- 情報を分かりやすく表す・伝える — ユーザ視点の情報デザイン、統計的な分析
授業イメージ(WG資料より)
仕組みを知る段階
レコメンドでフィルターバブルを体験しワークシートに整理。SNSと報道メディアを比較。生成AIのフェイク画像と本物を見比べて問題点を共有。Webページ制作を通じてデジタル化と情報共有の仕組みを理解。
問題解決の単元例
「情報を伝えるアプリを作る」/「分析したデータを利用するアプリを作る」。見づらい案内表示をユーザー調査から見つけ、情報デザインの考え方で校内表示板やアプリを設計・制作し、来校者の評価をもとに改善する。
1-(2)プログラミングと自動化
意図に応じた命令をプログラムし、作業や判断の一部を任せ、精度と効率を高められる
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扱う内容
- コンピュータと自動化の仕組みを知る — 構成、計測・制御、ネットワーク、情報セキュリティ 旧D(3)を継承
- 自動化を批判的に考える — アルゴリズムが人の認知に与える影響、AIが自動化に果たす役割
- 情報処理の手順を設計する — アルゴリズム、アクティビティ図
- 自動化の仕組みをつくる — アジャイルに試しながら改善、AIを補助的に用いたプログラミング
- ロボティクス・フィジカルAIなどの先端技術 新規
授業イメージ(WG資料より)
仕組みを知る段階
栽培の課題からかん水システムを設計・製作して動作を分析。その計測部分をAIの画像認識に置き換えて、従来のセンサとの違いを比較する。簡単な個人認証プログラムを作って情報を守る仕組みを理解。
問題解決の単元例
「画面で動作するプログラムを作る」(席替えルーレットなど、ユーザーのニーズ調査から)/「ロボットを動かすプログラムを作る」。閾値の分析、デバッグ、相互評価による改善まで。
1-(3)情報基盤とシステム化
多様な技術を組み合わせたシステムを、社会への影響に配慮しながら評価・改善できる
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扱う内容
- 情報システムの仕組みを知る — 情報システムの構造、AIがシステムに果たす役割
- 情報技術のリスクに対処する — 法・制度、マナー、健康への影響
- 情報技術を組み合わせ価値を生む — 複数技術を組み合わせたシステムづくり
- 情報システムを見直し、より良く使う — 倫理・法・社会の観点からの評価・改善
位置づけ
- 「複数の技術が統合されたシステムを、仕組みを理解しないまま使うと事故や誤操作のリスクが生じる」という問題意識が背景にあります。自動運転や介護ロボット、スマートフォンが例に挙げられています。
2-(1)材料加工とデジタル製作
デジタルも活用して材料の加工や構造を工夫し、生活や社会を便利にする
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現行Aから何が変わるか
- 木工はなくなりません。材料の特性、構造、加工、製作の技能は引き続き扱われます 旧A
- 3DCAD・3Dプリンタ等のデジタル加工機を使った設計・製作が入る 追加
- 人間工学に基づいた機能・構造・形状の設計 追加
- 木質材料の多様化、新素材まで視野を広げた材料の理解
授業イメージ(WG資料より)
中1の流れ
学校の机の材料と加工法を調査 → 材料(木質・金属・プラスチック・新素材)を分担調査して発表 → 簡易ブリッジコンテストで構造の工夫を体感 → 3DCADで簡単な形を練習 → 困りごとから課題設定 → 3DCADで設計図・部品図 → けがき・加工・組立・仕上げ → 端末で記録した過程の写真も使って評価し、改善案を3DCADの設計データに反映。
技術の俯瞰
3Dプリンタによる建築やAIによる生産工程の自動化の映像を視聴し、こうした技術を発展させる上で気を付けるべきことをレポートにまとめる。
2-(2)生物育成とデータ活用
デジタルも活用して育成環境を調整し、食料供給や環境保全につなげる
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現行Bから何が変わるか
- 生物の育成環境の調整という核は同じ 旧B
- 気温・土壌水分量などの環境データを計測・分析して育成計画を立てる 追加
- AIを利用したスマート農林水産を扱う 追加
授業イメージ(WG資料より)
中2の入り口
圃場がない学校でも育てられるよう、学校の気温などの環境に合った野菜をAIを補助的に使って調べ、プランタでの栽培計画を立てる。データを記録しながら環境を調整し、収量と品質を高める方策を判断する。スマート農業の工夫を調べてスライドにまとめ発表。
2-(3)エネルギー変換とスマート化
デジタルも活用してエネルギーの利用を効率化し、生活や社会を便利にする
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現行Cから何が変わるか
- 電気回路・機構、組み立て、保守・点検の技能は継続 旧C
- シミュレータを用いた回路や機構の設計とCADの操作 追加
- AIやセンサを利用したロボティクス、電子機械・ロボットの製作 追加
- 蓄電技術の進展を踏まえたエネルギー活用
ポイント
- 「経済性等に配慮しつつ、情報技術を活用してエネルギーを変換する仕組みを設計し、安全で安定した動作を製作し表現できる」ことが、この項目で目指す姿として示されています。
2-(4)技術の統合 ── 新設
多様な技術を統合して問題を解決し、生活や社会をよりよくする
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なぜ新設されたか
- AI・センシング・データ基盤の発展で、情報技術と生産技術を組み合わせた「統合的な技術」が交通・医療・福祉・防災・環境で急速に社会実装されているため
- 個別の技術の理解にとどまらず、それらがどう組み合わさって機能するかを義務教育段階から扱う
- 技術分野の学習が「木材加工や栽培、電子工作といった体験にとどまり、課題解決に結び付いていない」という長年の指摘への回答でもある
授業イメージ(WG資料より)
題材例:地域の防災
統合された技術が防災に応用されていることを知る → 防災上の問題を見いだし、被害軽減の観点から課題を設定 → 既習の技術を統合したシステムを構想し設計図に表す → プロトタイプを製作 → 評価し改善・修正 → 将来の災害に備えて学んだ技術をどう活用するか考える。
指導計画の工夫
各内容項目の問題解決の時間の一部を「技術の統合」に位置付けるなど、弾力的な編成が可能とされています。既に製作した作品に情報技術を付加して高度化する形も例示されています。
現場のQ&A
職員室で実際に出る質問に、取りまとめ案に書かれていることだけで答えます。書かれていないことは「書かれていない」と記します。
Q木工はなくなるのですか。▼
なくなりません。「材料加工とデジタル製作」として残ります。材料の特性、構造の工夫、けがき・加工・組立・仕上げの技能も明示されています。変わるのは、設計に3DCADが入り、評価・改善で記録データを使い、人間工学の視点が加わる点です。取りまとめ案は、生産技術を「情報技術が生み出す価値を現実の生活や社会で具体化する、引き続き不可欠な技術」と位置付けています。
Qなぜ「情報技術科」ではなく「情報・技術科」なのですか。▼
WGが理由を明記しています。情報技術のみを扱う教科ではなく、生産技術を含む多様な技術を一体的に学び、「技術の統合」を通して領域横断的に技術による課題解決を実践する教科だからです。そのうえで「その趣旨が正しく理解されるよう丁寧な周知・啓発に努める必要がある」とも書かれています。誤解されやすいことを、国も認識しています。
Q教員免許はどうなりますか。▼
情報・技術WGの取りまとめ案には、免許制度をどう変えるかの記述はありません。書かれているのは指導体制の現状認識です。令和7年度時点で技術分野の担当教員のうち臨時免許状所有者543人、免許外教科担任1,863人(高校情報科は臨免47人、免許外97人)で、これを「危機的な課題」とし、「指導体制の改善を一層加速させる必要がある」としています。条件整備としては、全ての中学校担当教員の指導力向上に資する研修の国による支援が挙げられています。免許の具体的な扱いは、教員養成部会など別の場での検討事項です。※ 今後の答申・関連審議で示される可能性があります。最新情報は文科省の公表資料をご確認ください。
Q授業時数は本当に増えるのですか。▼
確定ではありません。WGは各学年の学習活動を1コマ単位に近い粒度まで分解し、必要な項目数を中1で65項目程度、中2で66項目程度、中3で32項目程度と積み上げました。総則・評価特別部会ではこれを踏まえ、1・2年で年70コマ、3年で35コマ程度という案が示されています。ただしWG自身が「1コマ未満で扱えるものも複数コマ要するものもある」として、この数字をあくまで参考資料と位置付け、「年間の標準総授業時数を増加させないとの方針を前提に教育課程全体の観点から総合的に検討することが適当」としています。
Q家庭分野はどうなりますか。▼
技術・家庭科から分離し、「家庭科(仮称)」として独立する方向です。詳細は家庭科を所管する別のワーキンググループでの検討になります。なお、特別支援学校中学部の職業・家庭科の扱いについては、特別支援教育ワーキンググループでの検討が必要になるとの指摘が外部からも出ています。
Q3Dプリンタがない学校はどうすればよいですか。▼
国は「3Dプリンター等の教材の各自治体における整備状況の把握・可視化を踏まえ、その整備促進を図る必要がある」としています。整備は国と自治体の課題として位置付けられています。授業設計としては、設計(3DCAD)と評価・改善のデジタル化から始めるのが現実的です。出力機がなくても、設計データで試行錯誤し改善案をデータに反映する学習過程は成立します。
Q「技術の統合」に時間が取れるのでしょうか。▼
取りまとめ案は弾力的な指導計画の編成を認めています。各内容項目の問題解決の学習との系統性を損なわない範囲で、その時間の一部を「技術の統合」の問題解決の時間に位置付けてよい、とされています。既に製作した作品に情報技術を付加して機能を高度化する形も例示されており、ゼロから別単元を立てる想定ではありません。また「情報・技術科」における調整授業時数制度の活用も、柔軟な教育課程の工夫として挙げられています。
Q教科書はどう変わりますか。▼
個別の知識や操作方法を網羅的に示す構成ではなく、課題解決や価値創造の文脈の中で必要な知識・技能を扱う構成へ、と示されています。加えて、情報技術の変動性を踏まえ「教科書のみで内容を完結させるのではなく、国や民間が作成する教材等と連携しながら、技術の進展に応じて学習内容を柔軟に更新できる構造」を目指すとされています。教科書+随時更新される国の教材、という二段構えが前提です。
Q結局いちばん大きな変化は何ですか。▼
技術科教員の立場から見ると、情報技術が「4分の1の領域」から「教科全体の基盤」になったことです。A・B・Cはそれぞれ独立した領域ではなく、情報技術の上に載る生産技術として組み直されます。加えて、これまで実質的に3年生の統合的な題材として各校の裁量に委ねられていたものが、「技術の統合」という内容項目として制度に埋め込まれたこと。この2つが構造上の中核です。