現行はVer.2.0(令和6年12月26日)。一律に禁止するものでも、義務付けるものでもありません。位置づけは「参考資料」です。 そして2026年6月、次期学習指導要領を待たずにVer2.1へ改訂する検討が始まりました。方向は「原則を示す」から「使ってよい場面・使うべきでない場面を具体例で示す」へ。
生成AIは人間の能力を補助・拡張する有用な道具になり得る。ただし出力は「参考の一つ」「最適解とは限らない」。最後は人間が判断し、成果物に自ら責任を持つ。
使いこなすには、適切な課題設定とプロンプト、そして出力の真偽を判断できることが前提。だからこそ各教科で学ぶ知識、読み解く力、批判的に考察する力がこれまで以上に重要になる。
「教職員の校務」「児童生徒の学習活動」「教育委員会」の3つに分けて整理。それぞれにチェック項目が用意されている。
全12問。すべてガイドラインVer.2.0に実際に書かれている例です。職員研修のつかみにも、そのまま使えます。
迷ったら、この問いに戻ってください。「学習指導要領に示す資質・能力の育成につながるか。教育活動の目的を達成する観点で効果的か」。ガイドラインは、生成AIを利活用すること自体が目的になってはならない、と明記しています。
2023年の暫定版から現行Ver.2.0まで、そしてこれから。トーンの変化がそのまま国の姿勢の変化です。
現場にとって効いてくるのは、次の3点です。
活用の適否を判断するための暫定的な参考資料。限定的な利用から始めるトーンが強く、現場では「使ってよいのか」という不安が残った。
一律に禁止したり義務付けたりするものではないと明記。教育委員会に対しても硬直的な運用は望ましくないとはっきり書かれた。
論点を並べる構成で、自分の立場ではどうすればよいかが読み取りにくかった。
教職員の校務/児童生徒の学習/教育委員会の3場面に分け、それぞれ①適正利用 ②情報セキュリティ ③個人情報・著作権 ④公平性 ⑤透明性・説明責任 の5観点で整理。そのまま使えるチェック項目も付いた。
先行事例の蓄積が少なく、例示も限られていた。
校務での利活用例、学習場面で利活用が考えられる例/不適切と考えられる例、パイロット校の実名事例、代表的なリスクの例、研修教材の一覧まで掲載。
ガイドラインは、立場によって押さえるべきことが違うという前提で書かれています。
ガイドラインは、教職員が仕組みと特徴を理解した上で、生成された内容の適切性を判断できる範囲内で使うという前提で、校務での積極的な利活用は有用としています。働き方改革につなげること、そして教職員自身が新しい技術に慣れ、賢い付き合い方を知っておくことが、児童生徒の学びを高める素地になる、という位置づけです。
| 領域 | ガイドラインが挙げる利活用例 |
|---|---|
| 授業準備 | 教材や確認テスト問題のたたき台づくり/授業の感想の集約/発問に対する回答のシミュレーション相手/ワークシートや振り返りをもとにしたテスト問題のたたき台/校外学習の実施行程のたたき台 |
| 部活動・生活指導 | 過去の練習メニューを読み込ませた練習メニュー案/生活実態調査のアンケート案 |
| 学校運営 | 時間割・授業時数案/各種お便り・通知文・案内文のたたき台/HP掲載文や報告記事のたたき台/校内研修資料のたたき台/研修や講演会の録画からの要約・議事録案 |
| 外部対応 | 保護者会・授業参観・面談の日程調整/外部向け講演会の挨拶文 |
発達の段階と情報活用能力の育成状況に十分留意し、リスクへの対策を講じた上で検討する、という順序です。前提として、ハルシネーションやバイアスといった仕組みと特徴を理解させ、生成AIに全てを委ねるのではなく自己の判断や考えが重要であることを十分認識させられるかを見極めます。
使う場面は3つに整理されています。①生成AI自体を学ぶ場面(仕組み、利便性・リスク、留意点)、②使い方を学ぶ場面(対話スキル、ファクトチェックの方法)、③各教科等の学びで積極的に用いる場面(問題発見・課題設定、考えの形成、比較・深化)。これらを組み合わせ往還しながら、最終的には「日常使いする」ことも視野に入れる、とされています。
小学校段階の児童が直接使うことについては、より慎重な見極めが必要とされ、まずは教師と生成AIの対話を数多く提示することなどから始める形が示されています。
制度設計や方向性を示すのは教育委員会の役割としつつ、実践の蓄積は学校や教職員によって差が大きいため、一律に禁止したり義務付けたりするような硬直的な運用は望ましくないと明記されています。求められるのは、先行事例や教材・ノウハウの周知、効果的な活用を促進する研修、そして安全に使える環境の整備です。
ガイドラインは、読書感想文やレポートを課すとき、児童生徒が生成AIを用いれば簡単にこなせる可能性があることを前提に課題の内容を吟味すべきとしています。示されている工夫は、評価の視点を事前に設定する(自分自身の経験を踏まえた記述か、前提となる学習活動を踏まえているか)、口頭発表の機会を設けて自分のものになっているか確認する、生成AIとのやりとりの過程を参考資料として添付させる、ツール名・プロンプト・日付を明記させる、など。禁止するより、課題を作り替えるほうが本筋という整理です。
ガイドライン参考資料編のチェック項目です。タップでチェックできます(記録は残りません)。研修や校内ルールづくりの下敷きにどうぞ。
ガイドライン参考資料編に掲載されている、生成AIパイロット校の実際の取組です。規模感がつかめます。
中学生が身近に感じられる場面設定の英文を瞬時に作成。学校行事の保護者案内文や姉妹校へのメッセージカードのたたき台にも活用し、英文作成にかかっていた時間が大幅に短縮された。
各教科担当が単元をイメージして作った対話型の模擬授業プロンプトに課題を記入し、生徒同士がどう対話するかを生成AIに尋ねた。課題が明確でない場合は対話が弾まず一問一答になることが可視化され、実際の授業でも思考が深まらないと予想がついた。教師の課題づくりの支援になったという報告。
授業で使ったワークシートや生徒の振り返りをPDF化して読み込ませ、テスト問題を作成。知識・技能を問う問題、思考・判断・表現を問う問題と評価の観点ごとに分けて提案させ、たたき台にした。
あいさつ文、保護者あて文書、教育講演会の謝辞、学年だよりの添削に利用。作成者が誤字・脱字のチェックを生成AIで行うことで、教務主任・教頭・校長のチェック時間の短縮につながった。内容確認・修正・補足は最終的に作成者が行うことを確認したうえでの運用。
AIの基本知識を確認した後、生成AIで教員が作成した記事と実際の記事を比較。「インターネット上の情報をすぐに信じるのではなく、様々な資料と照らし合わせたり、自分の経験を基に考えることが大切だと感じた」という児童の反応が報告されている。
憧れの人物を英語で紹介する授業で、自分の英作文が意味の通る文か生成AIに入力・音声入力して確認。訂正が必要な文の直し方を提案してもらった。音声入力により自分の発音が正しいかもある程度確認できた。
グループで設定した問題について話し合う活動で、一定の議論をした後に新たな視点やアドバイスを生成AIからもらい、検討を深めた。AIのアドバイスをグループの内容に加えて再検討し、最終的な結論は自分たちで出していた。
Pythonでのデスクトップアプリ作成時に生成AIでコードを作成。プロンプトを工夫しながら、目的に見合うコードを組み込んでアプリを完成させた。
令和8年度の生成AIパイロット校は、教育利用10自治体・校務利用100自治体・教材実証51自治体で推進。重複を除くと149自治体、認定校を含む478校で実践や教材実証が進む予定とされています(令和8年3月31日時点で公表可能なもの)。
ガイドラインは「リスクがあるから使わない」ではなく「正しく認識した上で向き合う」という立場をとっています。挙げられている代表的なリスクは6つです。
流暢な文章を人間と遜色ないスピードで返すため、児童生徒が人格を感じてしまう可能性がある。
目的や育成したい資質・能力を意識しないまま安易に導入すると、AIに依存したり答えを鵜呑みにしたりして、目的に即した必要な学習過程が省略されてしまう。
既存情報の偏見を増幅する可能性がある。加えて、使う人間の側にも流暢性バイアス(流暢な出力を正しいと感じてしまう)や自動化バイアス(自動化されたシステムに過度に依存する)が働く。
入力した情報が機械学習に利用され、他の情報と統計的に結びついた形で出力される可能性がある。
既存の著作物と類似した生成物が出る可能性があり、利用の態様によっては侵害が生じる。
無償のサービスが将来有料になる価格変動、サービス停止、日本の法令が適用されない、係争時の管轄が国外になる、利用規約が頻繁に変わる、といったリスク。
授業の過程では、著作権法第35条により、教師や児童生徒が生成AIで作ったものが既存の著作物と類似・依拠していても、許諾なく利用できます。
授業目的の範囲を超えると、第35条は適用されません。学校のHPへの掲載、外部コンクールへの応募、保護者向けの学級通信、職員会議やPTA活動での利用は授業の過程にあたらず、他の権利制限規定がなければ侵害になる可能性があります。
実務上の留意点として、①キャラクター名など特定の固有名詞を入れて既存の著作物に似せた生成をしない、生成過程を確認できる状態にしておく ②生成物を使う前にインターネット検索等で既存の著作物と類似していないか確認する、が示されています。
2026年6月30日のデジタル学習基盤特別委員会(第10回)で示された検討項目案です。あくまで検討段階で、公表時期は決まっていません。
資料では3つの状況変化が挙げられています。①AIの利用が特別なことではなくなった(検索エンジンにも組み込まれ、次期学習指導要領では情報活用能力の抜本的向上が議論されている)/②リスクに関する国際的・学術的知見が蓄積した(OECD「Digital Education Outlook 2026」、AIに頼ることで考える過程が省略される「認知的オフロード」の研究など)/③国内の実践事例が蓄積した(パイロット校478校)。
あわせて、現状の課題として「ガイドラインが原則論に留まり、具体性が乏しい」こと、リスクを過度に恐れて適切な利活用が広がらない現状があることも率直に指摘されています。
| 検討項目(案) | 具体的なイメージ |
|---|---|
| 技術の進展・リスクの学術研究・国際的な議論 | エージェントAIなどの技術動向、OECDや諸外国での議論の反映 |
| 教師の役割 | 教師が担うべき業務と、AIが担い得る業務の整理 |
| AIサービス提供者に求められる視点 | 教育分野特有のリスク低減に向けて事業者に求められる対応 |
| 情報活用能力 | 情報活用能力の抜本的向上、小中高の各段階におけるAIの学習 |
| 学習活動で利活用する場面 | 過度な学習過程のショートカット(認知的オフロード)への対応、AIに関連した学習課題の提示や評価の考え方 |
| 教職員の校務場面における活用 | AIの活用により効率化・高度化できる校務の具体例 |
参考資料という位置づけと「人間中心の利活用」という基本的な考え方は維持されるとされています。つまり方向は変わりません。変わるのは具体性です。いまVer.2.0に沿って校内ルールをつくり、校務など児童生徒への影響が間接的な場面から小さく試しておけば、その経験はそのままVer2.1で生きます。立ち止まっていることこそが課題だと資料自身が指摘しています。
冒頭のOK/NG判定に加えて、もう2種類の問題バンクを用意しました。5問・10問・20問・全問から選べます。連続正解でコンボが出ます。間違えた問題だけをもう一周できます。
「一律禁止でいいの?」「個人情報は入れても大丈夫?」など、現場での判断に直結するポイントを確認します。
版の変遷、基本の考え方、著作権、リスク、実践例、Ver2.1の方向まで。